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クラシックギター弦は永久に使えるわけではなく消耗品です。だんだんと音が悪くなっていき、最後には切れてしまいます。では、何をもって寿命と判断し、いつ交換すればいいのでしょうか?
この記事では弦の寿命や交換時期を簡単に説明しています。弦が劣化するメカニズムや寿命を延ばす方法については以下の記事を参照ください。
クラシックギターの弦が劣化するとどうなるのか?
クラシックギターに欠かせないものといえば弦です。弦は使っていくうちにだんだんと劣化していきます。どれだけ良い楽器を使っていても劣化している弦を使ったのでは台無しです。
では弦が劣化すると何が起こるのでしょうか?時系列に沿って説明します。
低音弦の音が鈍くぼやけた音になる
まず最初に訪れる変化は巻弦である低音弦です。
最初は輝きのある鋭い音であった低音弦が、だんだんと鈍くぼやけた音になります。
柔らかくてまろやかな音ともまた違う、鈍重ともいうべき音です。
低音弦のフレットに当たる部分がへこみ、メッキが取れる
次に低音弦の巻弦がフレットに当たる部分がだんだんとへこんできます。
そしてだんだんと表面の銀メッキが取れ、中の銅色が見えてきます。
高音弦にキズがつく
高音弦がフレットに当たる部分や爪で弾く部分にだんだんと傷がついてきます。
キズのせいで弾いた時に雑音が出ることもあります。
高音弦の音に艶がなくなる
高音弦もだんだんと音が変化します。
もともとは甘く艶のある音が出せたのが、だんだんと艶がなくなってきます。
プラスチックを弾いているような味気ない音になります。
弦の張りが強く感じられる
だんだんと弦の弾力がなくなり、弦のテンションが強くなったように感じます。
低音弦が錆びる
低音弦のメッキまたは中の銅が錆びます。
メッキが錆びた場合は黒っぽい色、銅が錆びた場合は緑色から青色になります。
低音弦の巻弦が取れる
低音弦がフレットに打ち付けられ続け、メッキどころか巻弦が取れてしまい中の芯線が露出します。
弦が切れる
低音弦は芯線が露出したところから弦が切れます。
高音弦はなかなか切れませんが、やはりフレットに当たる部分が弱いです。
どの段階で寿命とするか?
では、このような変化をしていく弦をどの段階で寿命と判断し交換するべきでしょうか?
切れたときが本当の寿命
寿命に決まりはありません。自分が変えたいと思ったときが変え時です。
「劣化」と言いますが、「劣化」した後の音が好きな人もいますし、新品の弦の音が好きな人もいます。
ただ、切れてしまったらもう使えないのでここが本当の寿命ということはできるかと思います。そこまで使う人はまれかとは思いますが。。。
ギターの魅力を引き出すなら少なくとも低音弦が錆びたら変えたい
クラシックギターの魅力といえば多彩な音色です。その音色は低音弦に輝きと鋭さがあり、高音弦に艶があってこそ引き出されます。
このため、あまりにも劣化した弦を使っているとギターの魅力を損なっているともいえます。
少なくとも低音弦が錆びたら交換したいところです。この段階に来ると低音弦の音は劣化しきっており、高音弦の艶もかなりなくなっていると思います。素直に6本の弦をすべて変えましょう。
できれば音が劣化したら変えたい
とはいえ、やはり常に良い音でギターを弾いていたいものです。
このためには高音弦の音に艶がなくなったと感じたら変えるのがいいのではないでしょうか。
この判断は艶がある音を出せないと難しいので、錆が出たらというのが次の選択です。
寿命を超えた弦を使うと問題があるか?
弦が切れるまで使った場合、切れるときに楽器本体に当たって楽器を傷つける可能性があります。また、演奏中に切れると体に当たってけがをすることも。
そこまでいかなくてもだんだんと弦が弾力を失ってテンションが強く感じられるため、弾きづらくなるかと思います。
悪い音の状態で弾くと音色の変化を十分に使えず、表現の幅が狭くなり、上達その幅が狭いままでは良い音楽にはできません。
また、悪い音でギターを弾くとその音をギターが覚えてギターの音が悪くなるという説もあります。本当かどうかはわかりませんが、木がその振動を覚えるのだとか。
どれくらいの時間/期間で劣化するのか?
これは弾く時間や弦の種類次第です。
毎日一時間くらい弾く人は目安としては3~4週間で低音弦が交換時期になります。高音弦はもう少し持ちますので、低音弦2回に対して1回交換でもいいと思います。ただし、耳がいい人には劣化が感じられるので低音弦と一緒の交換もありです。
あまり弾かない人はもっと持ちますが、まったく弾かなかったとしても弦は錆びるため劣化します。どうしても錆びてくるので、2か月に1度くらいは変えた方がいいかと思います。
寿命が長い弦や寿命を延ばす方法はないのか?
いくつかの方法がありますので紹介します。。
より詳細な弦の寿命についての解説は以下の記事も参照ください。
楽器を弾かないときは弦のテンションを緩めておく
一番簡単な方法はギターを弾き終わった後は弦の張力を緩めておくことです。弦は調弦した状態が最もいい音がするように作られていますが、それは弦のぎりぎりの状態を保っていることになります。糸巻を4回くらい緩めておくと長持ちするかと思います。
ただし、楽器にとってはテンションは緩めない方がいいという人もあり。。。私はそれほど気にする必要はないかと思いますし、河野ギター製作所やヤマハは緩めておくことを推奨しています。
なお、弾き終わるたびに弦を外すという方法もありますが、さすがにそこまでやると楽器に良くなさそうですし、やっている人は見たことがありません。
弾き終わった後、弦をふく
また、錆を防止するという意味では楽器を弾き終わった後に布で弦をふくのも良いです。
空気中の水分よりも手からの汗の方が塩分もあるため錆びやすく、これをふき取っておくのは効果があります。
きれいな布でもいいですが、こんなグッズもあります:
さらに科学的にサビや汚れを落とし、弦の音を復活させるというコンセプトのグッズもあります。
寿命が長い弦を使う
弦にもいろいろ種類がありますが、寿命の長さを売りにしている弦もあります。
たとえばダダリオのプロアルテEXPやXTは弦にコーティングすることで錆びづらく、切れづらくしています:
Made in Japanのフィガロは芯線にコーティングをして寿命を延ばしています:
こういった弦を使うのも1つの手です。ただし、寿命の長い弦が自分の音の好みに合うかは試してみないとわかりません。
(追記):寿命の長さをうりにした弦を集めてみました。
常にいい音を楽しみたい
消耗品ではありますが弦はクラシックギターにとって大事な部品です。これが良い状態でないと絶対に良い音を奏でることはできません。
より詳しい弦の劣化の原理や寿命について知りたい場合は以下の記事を参照ください:
また、寿命が来た弦は再利用するか、適切に分別してゴミに出しましょう。