ギターという楽器は様々な音楽ジャンルで使われていますが、その中でクラシックギターはギターの原点ともいえる存在です。クラシックギターを他の楽器と比較した時にどのような魅力があるのでしょうか?
他にも初心者向けの記事があります。以下のページにまとめてあります。
https://cooksealphoto.com/%e3%82%af%e3%83%a9%e3%82%b7%e3%83%83%e3%82%af%e3%82%ae%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%82%92%e5%a7%8b%e3%82%81%e3%81%9f%e3%81%84%e5%88%9d%e5%bf%83%e8%80%85%e3%81%ae%e6%96%b9%e3%81%b8/
柔らかくて癒されるだけではない、豊富な音色と表現
クラシックギターの一番の魅力は何といっても音色だと思います。ナイロン弦を使った優しく癒される音は心を豊かにしてくれます。
が、実はクラシックギターの音色は優しいだけではありません。たとえばこんな感じの激しい音楽から:
このような優しい音まで奏でることができます:
確かに柔らかくて優しい音がギターの魅力の一つではあるのですが、それを含めた音色の豊富さこそがクラシックギターの魅力だと思います。
さらに、クラシックギターは弦を美しい音で奏でるだけの楽器ではありません。楽器をたたいたり弦を擦ったり、いろいろな表現方法があります。
こちらはクレンジャンスという作曲家の「最後の日の夜明けに」という曲ですが、死刑囚が牢屋から連れ出され、ギロチンにかけられるまでを表した曲です。時計の秒針の音、牢屋の扉が開く音、看守の足音など、様々な音がギター一本で表現されています。
このように柔らかくて癒される音を含め、様々な表現ができることこそがクラシックギターの魅力です。
心臓の近くで自分の指を使って弾く楽器
まず最初に、クラシックギターは心臓の近くで自分の指を使って弾く楽器であるということです。
一般的なクラシックギターの弾き方はこのイラストのようになっています。ご覧の通り、音を出すサウンドホールがまさに心臓の近くにあります。クラシックギターほど心臓の近くで音を奏でる楽器は他にないのではないでしょうか?
心臓の近くで奏でるという行為は、ギターを弾いているときに楽器との一体感を感じます。楽器でが音楽を奏でているのではなく、楽器と自分がともに音楽を奏でているという気分にさせます。
また、クラシックギターは左手も右手も指と爪で弾きます。しかも、直接弦を押さえたり弾いたりします。ヴァイオリン系の楽器は弓、ピアノは鍵盤、管楽器は息を使って楽器を弾きますが、楽器が音を出すもとである弦に体が直接触れて奏でる楽器というのはクラシックギター以外にはハープくらいのように思います。
これもまた楽器との一体感を高めてくれます。
一人でも、二人でも、三人でも、…、多人数でも
クラシックギターという楽器は一人でも音楽を奏でられますし、複数人でも奏でられます。
一人でメロディーと伴奏を両方簡単に弾ける楽器は意外と少なく、メジャーなところではピアノとクラシックギターくらいではないでしょうか。
一方でピアノのように基本は一人、連弾しても二人という人数制限がなく、ギターさえ持ち寄れば三人(トリオ)でも四人(カルテット)でも弾けますし、もっと多人数でも弾くことが可能です。
こちらの動画はロサンゼルスギターカルテットというプロの4重奏チームが弾いていますが、一人では弾けない曲、できない表現が人数が増えることで可能になるのは素晴らしいことです。
さらに、他の楽器と一緒に演奏することもできます。メロディーも伴奏もできる楽器なので、メロディーが得意な管楽器や弦楽器との相性はいいです。ただし、音量差がある場合もあるのでそこは調節して。。。
こちらの動画はピアソラの単語の歴史というフルートとギターのために作曲された曲です。ギターだけではできない音楽が他の楽器と組み合わせることでできるようになります。
様々な楽しみ方ができるクラシックギターは音楽の楽しみを広げてくれます。
「クラシック」だけではない
「クラシック」ギターと名前がついていますが、クラシックギターはクラシック音楽だけを弾くための楽器ではありません。ありとあらゆる音楽ジャンルに対応可能です。
特に南米系の音楽とは相性がよく、こんな感じのノリのいい曲も弾けます:
また、アコギのようにコード弾きをして歌の伴奏をすることもできますし、応用範囲は広いです。
持ち運びがしやすいサイズ、おしゃれなケースも
クラシックギターはケースに入れて持ち運びが可能です。大きさとしては電車などの公共交通機関にもっていってぎりぎり迷惑にならない程度の大きさです。
このため、誰かと一緒に弾きたいと思ったときに気軽に持ち歩けますし、クラシックギターが置いていないところにも気軽に持っていけます。
また、ケースも昔は地味なものが多かったですが、最近はおしゃれなケースが増えてきました。
たとえばこんな感じのカーボンケースや:
こんな感じのカラーバリエーション豊富なケースが売っています:
クラシックギターをやっている人にはおとなしくて良い人が多い
これはある色々な楽器を扱っている店の店主が言っていたことなのですが、クラシックギターをやっている人にはおとなしくて良い人が多いのだそうです。
その方曰く、楽器ごとに結構人の性格が偏っていて、たとえばトランペットをやっている人は目立ちたがり屋が多いのだとか。
確かに、それぞれの楽器ごとに音色や得意とする音楽のタイプが違うので、その楽器を選んだということはこういう性格だ、というのは傾向としてはありそうです。
私の経験上もクラシックギターをやっている人はそれほど押しが強くなく、親切にしてくれる人が多い気がします。
もちろんイマイチな点も
もちろん、クラシックギターをやっていていまいちだと思う点も多々あります。
地味
ギターというとアコギやエレキが主流であり、クラシックギターは地味です。
クラシックギターをやっているというと、「じゃあ何か歌って」といわれることは日常茶飯事です。
話の種にもなりづらいです。。。
周りにやっている人が少ない
それほど楽器人口が多い楽器ではないので、身近にやっている人が少ないです。
このため、趣味の話で普段から盛り上がるということは難しいです。
最近はSNSが発展していて、クラシックギター関連のコミュニティはあるので、そういうところに参加すれば問題はないのですが、ちょっと寂しいところではあります。
店が少ない
楽器人口の少なさからクラシックギター専門店の数は少ないです。
このため、弦や楽譜を買おうと思っても近場では買えません。
幸い、こちらもネットショップが発展しているので、それほど問題にはなりませんが、やはり寂しさは覚えます。
やりがいもあって発展性もある、クラシックギターは良い楽器!
悪いところもありますが、30年近くやってきて思うのはクラシックギターは良い楽器であるということです。
弦を自分の指で押さえ、弾き、心臓の近くで弾く。この原始的ともいえる弾き方ゆえに奥深く、どこまでも果てがありません。
ぜひとも一人でも多くの人がクラシックギターの世界に足を踏み入れてくれればと思います。