クラシックギターの演奏にはチェロ用の椅子がおすすめ!現代ギターより安くて無段階調節範囲も広い

4.5
チェロ用の椅子「IT-50-CEL」 ギター用品

クラシックギターの演奏による腰痛を防止するには椅子を低めのものに変えるのがおすすめです。ただ、現代ギターのものは高価で購入がためらわれます。チェロ用の椅子はクラシックギターと同じくらいの高さが理想で、かつ価格が安いのでおすすめです。きたむら楽器(its a beautiful music)のIT-50-CELを実際に購入しましたのでレビューをお届けします。

クラシックギター用の椅子は高価

クラシックギター用に販売されている椅子は高価です。

現在販売されているものは現代ギターから出ているGGS-STANDARDとGGS-PROですが、前者は23,100円、後者は36,300円と購入がためらわれる価格設定となっています。

昔はアリアからWGB-200という定価が15,000円のクラシックギター椅子があったのですが、残念ながら生産終了となってしまいました。

出典:アリア

もっとも、現在でも販売されていたとしたら値上げラッシュの影響でもっと高くなっているでしょう。

ピアノ用の椅子は高い、大きい、重い

見た目が似ているからピアノ椅子ならどうか?と考えました。たとえば有名メーカーのKORG PC-300は8,000円ほどで買えます:

残念ながらピアノ用の椅子クラシックギター用に使うには3つの問題があります

高さが合わない

1点目は高さが合わない点です。

クラシックギターの演奏には高さ40cm前後の椅子が最適ですが、ピアノ椅子は45cm以上のものが一般的となっています。上で紹介したPC-300も高さの調節範囲が46cm〜53cmです。

ならば子供用は?と思って調べてみると、ピアノの場合は鍵盤の高さが固定されるので、子供用の方がむしろ高さが高くなります。

ピアノ椅子の脚を切って短くするという手もありますが、後述の2点の問題に加え、ピアノ椅子のなかには脚の材質が金属製のものがある点に注意してください。

私も最初はPC-300を買って脚を切ろうかと思ったのですが、脚が金属製である点に購入直前で気づきました。

座面が大きすぎる

2点目は座面の大きさです。

クラシックギターは一般的に座ったまま演奏するので、座面はお尻がしっかりと乗せられればよいです。

一方ピアノは広い鍵盤を演奏する必要があるため、ものにもよりますが、身体を極端に傾けても大丈夫なように大きめの座面が採用されています。

たとえばネット通販で人気のRAKUのピアノ椅子は座面サイズが57cm x 35cmです。

RAKU ピアノイス 楽譜収納付き ベンチ 高低高さ調整可能 無段階ネジ式昇降 幅57cm 奥行35cm 電子ピアノ用椅子 白/黒/黄 (ブラック)
ラク(Raku)
【サイズ&無段階高さ調節】横幅56.5cmx奥行34.5cmx高さ46cm~56cm(無段階に調節可能)。無段階ネジ式昇降装置を採用しており、利用者の身長などに合わせて、両サイドのハンドルで細かく高さを調節できます。(ピアノカバーも新登場!チェックはこちら→https://www.amazon.co.jp/dp/B08LH3YYDD)

これに対し、現代ギターのGGS-STANDARDは47cm x 29cmとかなりコンパクトに設計されています。

クラシックギターの場合、真ん中ではなく左に寄って演奏するのが最適ですが、安定性の悪いピアノ椅子だと快適に演奏できないかもしれません。

また、単純に大きすぎて邪魔と感じることもあるでしょう。

重くて移動しづらい

最後が重さの問題です。

ピアノの場合はピアノ自体移動に適していないことから、ピアノ椅子は常にピアノの前に置いてあるため重くてもさほど問題ありません。

一方クラシックギターの場合は楽器の持ち運びが容易であり、演奏しないときは椅子を端に寄せておきたいと思う方も多いのではないでしょうか。

先述のRAKUのピアノ椅子は重さが9kg〜10kgあります。

ちなみに現代ギターのGGS-STANDARDは7.9kg、GGS-PROは11.7kgとかなり重いです。教室やステージで使うことを想定していて、頻繁に移動させることを想定していないのでしょうね。

チェロ用の椅子がクラシックギターの演奏におすすめ

クラシックギタリストと同じく、チェリストも演奏用の椅子に悩みを持っているようで、チェロ用の椅子が販売されています。

このチェロ用の椅子、クラシックギター用のものと同じくらいの高さでかつ小さくて軽いのが特徴です。

クラシックギター用の椅子とチェロ用の椅子のメーカー、商品名、価格、高さの調節範囲、座面サイズ、重さを表にすると以下のようになります:

メーカー商品名価格高さ座面重さ
現代ギターGGS-STANDARD23,100円37cm〜43cm47cm x 29cm7.9kg
GGS-PRO36,300円41cm〜50cm56cm x 34cm11.7kg
きたむら楽器
(its a beautiful music)
IT-50-CEL17,800円35cm〜41cm50cm x 30cm5.1kg
IT-55-CEL21,600円36cm〜43cm55cm x 34cm7.7kg
ValenteCRC-316,390円38.5cm〜46.5cm50cm x 30cm6.4kg
CRC-518,920円38.5cm〜46.5cm50cm x 30cm6.4kg

ご覧のとおり、価格面ではチェロ用の椅子が圧倒的に有利です。

現代ギターのGGS-STANDARDが23,100円なのに対し、CRC-3は16,390円、IT-50-CELは17,800円と2割〜3割ほど安い価格設定になっています。

機能的にも無段階高さ調節機能が付いており遜色ありません。 さすがにGGS-PROのような収納はありませんが、収納だけのために36,300円出せる方は限られているでしょう。

さらに、なぜかGGS-PROは高さが41cm〜です。クッションが分厚いので座るとちょうどよい高さになるのでしょうか?

私はIT-50-CELとCRC-3のどちらにするか迷いましたが、重さが軽いIT-50-CELを購入しました:

色違いのものもありますが、確認したところ色以外の差はないそうです。

安さ重視あるいは高さが41cmまでというのはちょっと不安という方はCRC-3もよい選択肢だと思います:

また、IT-50-CELは注文を受けてからカスタムで製作する椅子だそうで、注文からお届けまで2週間〜3週間かかります。すぐにほしい!という方もCRC-3がおすすめです。

購入したチェロ用の椅子「IT-50-CEL」を組み立て

注文からしばらく待って、IT-50-CELが届きました。

組み立て工具入りで、脚が外された状態で配送されます。

同梱されているのは座面、脚x4、スパナ、説明書です:

商品販売ページでは脚部に別部品が付いていましたが、実際に届いたものは傷防止のフェルトが貼られているだけでした。仕様変更によるものだそうです。

説明書にはピアノ椅子メーカーとして有名な「甲南」の名前がありました。製造元も日本メーカーになっており、作りには信頼が置けそうです。

たとえば脚部の細かいところまでしっかりと塗装されていました:

組み立てといっても簡単で、座面裏に付属のスパナを使って脚を取り付けるだけで終わります:

4つの脚を取り付けるのにかかる時間はそれほど長くありません:

この状態でまったくがたつきなく仕上がるのですが、床面が傾いているときに備え、脚部の取り付け位置を上下に少しずらせるようになっています。

しっかりした作りの椅子

組み立て終わったIT-50-CELがこちらです:

高さは最も高くしています。足が短くて寸詰まりのピアノ椅子、という印象でしょうか。

最も低くした状態がこちら:

最も高くした状態がこちら:

高さを上げて内部構造が見えても、内部までしっかりと塗装や処理がされているのでまったく安っぽさはありません

高さ調節は横にあるノブを回しておこないます。動きは非常にスムーズです:

ノブを回したときに変わる高さはかなり小さく、微調整できます。ただ、その分大幅に高さを変えるときは頑張って回さなくてはなりません。

作りもしっかりしており、揺すってもがたつきはまったくありません:

クッションは硬めですがしっかりとした深さがあり、連想時の疲れが少なそうです:

柔らかすぎるクッションの場合、真ん中からずれて座ると身体が傾いてしまいます。それを修正するために身体に力が入って腰痛や肩こり、疲れの原因になることがありますが、この椅子は大丈夫そうです。

また、軽くて小さいので弾くときに出し、弾き終わったらしまうのも楽でした。

5.1kgの重さはギターをケースに入れたときと同じような重さです(ギター1.5kg+ケース3.5kgを想定)。 10kg近いものとは全然違います。

ギターの演奏が疲れづらくなり音も良くなった

実際にIT-50-CELを使ってギターを演奏した感想は、長時間奏しても疲れづらくなったというものです。

これまで使っていた椅子は低めではあるものの高さの微調節ができないものでした:

これに対してIT-50-CELは35cmとかなり低めに設定できるのに加え、そこから41cmまで無段階に忠節できるので自分好みの高さにピタッと合わせられます。

また、以前使っていた椅子は折りたたみタイプのため、どうしても座ったときにがたつきや高さの変化が生じていました。

IT-50-CELはがたつきが全くないので安心して身を預けられます。

意外だったのが、演奏時の音がよくなったと感じた点。

これまで使っていたギター椅子が金属製で、かつ組み立てのがたつきが多かったのに対し、IT-50-CELは木製の脚部とがっちりとした組み立てにより身体を伝わった音がしっかりと床に伝わるようになったのかもしれません。

クラシックギターは足台ではなく支持具を使うと音が変わるといわれていますが、それと同じような原理なのでしょう。

無段階高さ調節できる足台との組み合わせで腰への負担を最小に

高さをかなり低くできるようになったことで、腰への負担がかなり抑えられるようになりました。

また、私は最近OHASHIのFT-3という高さを無段階調節できる足台を購入しています:

この2つを組み合わせると弾きやすさを維持しつつ腰への負担を最小に抑えられそうです。

少し高いけどそれだけの価値はある

今回購入したIT-50-CELは、現代ギターのものに比べると安いとはいえ、高価であることに変わりありません。

ただ、実際に使ってみるとその価値はあると感じました。35cmからの高さ無段階調節、コンパクトな座面、軽量な本体と日々の演奏をより楽にしてくれます

さらに音が良くなるというおまけ付きです。

腰痛で悩んでいる方はもちろん、よりギターを楽しく弾きたい方もぜひ検討してみてください。

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