クラシックギターにはトーレスを初めとする名器が存在しています。なぜ名器の音は良いと感じるのか、その理由がまた1つ解明されたかもしれません。「第3の音」が強いことが原因という研究結果が発表されました。
2つの音から生まれる「第3の音」
この研究はイタリアのフィレンチェ大学によって発表されました。
人間は2つの音が同時に鳴ったとき、それらを別々の音として区別することができます。しかしながら、2つの音が混ざり合うことによって元の音にはなかった「第3の音」が生まれるケースがあるのだそうです。
この第3の音はこれまでは聴覚による錯覚と思われてきましたが、今回の研究で同じヴァイオリンで2つの音が同時に演奏されたときに「結合音」と呼ばれる第3の音が実際に記録でき、錯覚ではなく実際に存在する音だとわかりました。
高品質の楽器ほど第3の音が大きい
そして、この第3の音は高品質の楽器ほど大きいのだそうです。
大量生産のヴァイオリンでは結合音がほとんど存在しないのに対し、歴史的な名器では結合音成分が多く記録されるのだとか。
つまり、人間が名器の音を良いと感じるのは、結合音成分の大小が影響している可能性があるといえます。
なぜ結合音成分が大きくなるかは不明
ただ、今のところなぜ結合音成分が大きくなったり小さくなったりするかは不明だといいます。
研究チームは結合音成分に影響する物理的な構成要素を特定することで、「名器」と呼ばれる楽器の正体に迫る予定です。
これが特定されれば、音の良い楽器をより安く手に入れられたり、歴史的な名器を超える楽器作りが可能になったりするかもしれません。
クラシックギターへの応用も期待
今回の研究はヴァイオリンを対象にしたものですが、同じ木を振動させて慣らす楽器ということで、研究結果はクラシックギターにも応用できそうな気がします。
歴史的な名器は高く、手に入れるのが難しいですが、この研究の発展によって誰もが良い音の楽器を安く手に入られるようになるといいですね。
一方で、歴史的名器の秘密は謎のまま残ってほしいような気もします。なんとも悩ましいです。