クラシックギターに弦長補正は必要?原理とやり方についても解説

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クラシックギターやアコースティックギターを弾いていて、12フレットの音とハーモニックスの音が合わないと感じたことはないでしょうか?多くの場合は不良弦によるものですが、原理的に合わない場合もあります。それを補正するためのものが弦長補正です。その原理とやり方について解説します。

不良弦以外にもある12フレットとハーモニックスの音が合わない理由

ギターを弾いていると、特にハイポジションで和音が濁ることがあります。

この理由の1つは、開放弦ではチューニングがあっていても、フレットを押さえたときに音が狂っているというもの。

その原因の多くは不良弦によるものです。

弦が同じ半径の真円であることを前提にギターは作られていますが、実際には製造上の問題でいくらか誤差が生じます。これがあまりにも大きいと音が合わなくなるわけです。

しかしながら、場合によっては、ギターの構造上の問題で音が合わないということがあります。

ギターの構造上の問題で音が合わない理由

ギターの構造上の問題で音が合わないのには大きく分けて4つの理由があります。

弦は押さえると斜めになって長くなる

まず前提として、音は弦長が半分になると1オクターブ高くなります。そして、12フレットは弦長を半分にする位置にあるため、開放弦に比べて1オクターブ高い音がでるわけです。

しかしながら、弦は開放弦の状態ではフレットに接しておらず、押さえることで接します。このとき、弦は開放弦の状態に比べて斜めになります。

弦の長さは斜めにすると長くなるため(昔懐かしい3平方の定理)、弦長が半分よりも長くなり、音が低くなります

このため、12フレットの位置が弦長のピッタリ半分の位置にあっても音が合わないのです。

弦の高さや太さによってフレットを押さえたときの弦長が変わる

弦の高さが高くなるほどフレットを押さえたときの弦はネックに対してより斜めになり、再び3平方の定理により、よりフレットを押さえたときの弦長が長くなります

また、弦の太さも同様に押さえたときの弦の長さに影響するでしょう。

弦を押さえると張力が高くなる

ギターのチューニングはペグを回すことでおこないます。これは、弦の張力を変えることで音程を変えている行為であり、張力が高くなると音は高く、低くなると音は低くなります。

弦を押さえると指によって弦にある程度の力がかかります。この力によって張力が高くなり、音が上ずるといわれています。

この「ある程度の力」は弦のテンションによっても変わるでしょうし、押さえ方によってもかわるかもしれません。

ネックが曲がっている場合

最後が、ネックが曲がっている場合です。

いくらフレットが理想的な位置にあっても、それはネックがまっすぐであることが前提です。

ネックが曲がってしまっては各フレットを押さえたときの弦長がずれ、音が合いません

これはネックを直すしかないので、この記事では対象外とします。

弦長補正の方法

それでは、どのようにこの問題を解決すればいいのでしょうか。

フレットの位置を調整する

弦を押さえることで斜めになったり張力が変わったりするのであれば、弦を押さえることで生じる弦長や張力の変化を前提に、フレットを打つ位置を調整してやればいい、というのが1番目の方法です。

これはおそらく各ギターメーカーや製作家のノウハウに基づいて行われるのでしょう。

これをやっているということを大っぴらにいっているのは見たことがありませんが、おそらく当たり前のこととしてやっているものと思われます。

ただ、この方法では弦高の変化や、弦の太さの変化には対応できません

サドルを調整する

2番目の方法がサドルを調整するという方法です。

12フレットを押さえると音がずれるのを見越して、弦がサドルと当たる位置を調整してやります。フレットの位置は変わらないので、開放弦の弦長と12フレットを押さえたときの弦長の関係が2倍から少しずれ、音程を調整できます。

この方法なら後から調整できますので、弦高や弦の太さの変化にも対応可能です。ただ、12フレット以外を押さえたときに完全に音が合うかについては疑問が残ります

弦長補正が施されているというサドルも販売されており、その商品写真を見るとイメージが付きやすいかもしれません:

ちなみに、弦ごとに補正を変えているのは、弦の太さや張力によって補正値が変わるため。

製作家によってはこのサドルによる補正をおこなっている方もいるようです。

また、東京のクラシックギターショップであるメディア・カームもこの方法で調整をおこなっています。

ナットを調整する

サドル以外にも、ナットと弦が当たる位置を調整する方法もあります。

こちらも原理はサドルを調整する方法と同じです。

ただ、この方法をとっているケースはクラシックギターではあまり見たことがありません。

自分で弦長補正をする方法について(オクターブチューニング)

それでは、自分で弦長補正をおこなうにはどうしたらいいのでしょうか。

やり方としては、サドルかナットのいずれかを調整することになります。

そして、12フレットを押さえた音とハーモニックスの音が合うまでひたすら調整します。

これはエレキギターでは「オクターブチューニング」として知られている方法です。

が、クラシックギターの場合はサドルかナットを削っては確認、削っては確認、という作業になるのでかなりつらそうです。

ちなみに、エレキギターには最初からこの調整をおこなうための機構がブリッジが搭載されています。

原理としては単純で、ねじを回すことで弦長を変えられるようになっているというものです。

サドルやナットを削る必要がないのでお手軽ですが、さすがにこの機構をクラシックギターに搭載するのは抵抗感がありますね。。。

素人判断/修正せずに専門店や製作家に相談を

ここまで解説してきましたが、弦長補正はノウハウが必要な作業であり、素人が安易に手を出さないほうが良いかと思います。

また、音が合わない原因にはさまざまなものがあるため、そもそも弦長補正が必要な状態なのかについても判断が難しいです。

音が合わない、と感じたら素人判断せず、専門店や製作家に相談することをおすすめします。

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