楽器にはさまざまな演奏方法があり、立って演奏するもの、座って演奏するもの、指で演奏するもの、息で演奏するものなどさまざまです。それなりに身体を使っているようにも思いますが、ギターの演奏にダイエット効果はあるのでしょうか?ほかの楽器やウォーキングなどの運動と消費カロリーを比較してみました。
身体活動を示す「メッツ(METs)」で運動強度を比較
カロリーと一口にいっても、同じ運動をした際に消費されるカロリーは体重によって異なります。
体重が重い人は大きなカロリーが必要ですし、軽い人は小さなカロリーで動けるため、一般的な比較ができません。
このためまずはカロリーで比較するのではなく、身体活動を示す「メッツ(METs)」で比較することにします。
メッツは座って安静にしている状態を1メッツとし、これに対して活動がどの程度強度があるかを数値化したものです。
たとえば散歩は3.5メッツ、ジョギングが7メッツ、階段を駆け上がるランニングが15メッツとされています。
国立健康・栄養研究所によってさまざまな身体活動に対してこのメッツ値が定義されているため、これを参照しながらギターなどの楽器を演奏する行為がどの程度の運動強度なのか探ります。
さまざまな活動のメッツ
まずは上記の資料から、代表的な活動のメッツを表にまとめてみました:
運動 | メッツ |
散歩 | 3.5 |
ジョギング | 7.0 |
ゆったりしたストレッチ | 2.3 |
釣り全般 | 3.5 |
自転車通勤 | 4.0 |
一輪車 | 5.0 |
なわとび | 12.3 |
掃除全般 | 3.3 |
植物への水やり | 2.5 |
デスクワーク | 1.3 |
これらと楽器の演奏を比較してみましょう。
各楽器の運動強度
上記の資料から抜粋した、各楽器を演奏したときのメッツがこちらです:
楽器 | メッツ |
クラシックギターなどの座って弾くギター | 2.0 |
エレキギターなどの立って弾くギター | 3.0 |
ピアノ | 2.3 |
アコーディオン | 1.8 |
木管楽器(座って演奏) | 1.8 |
ホルン | 1.8 |
ヴァイオリン(座って演奏) | 2.5 |
チェロ | 2.3 |
コントラバス(立って演奏) | 2.5 |
ドラム | 3.8 |
クラシックギターの運動強度は低め
クラシックギターのメッツは2.0と、さまざな楽器のなかでも低めのようです。
やはり座ったまま演奏し、かつ基本的に指先だけしか動かさないので低めなのでしょう。
散歩の3.5よりもはるかに低く、さすがにデスクワークよりもましであるものの、残念ながらギターの演奏によるダイエット効果は低そうです。
体重60kgの人が1時間ギターを演奏すると126キロカロリー
では、クラシックギターの演奏を実際のカロリーに換算してみます。
カロリーは、メッツ x 体重(kg) x 運動時間 x 1.05で計算可能です。
試しに体重60kgの人が1時間ギターを演奏すると、126キロカロリーとなりました。
ご飯1合が530キロカロリーなので、ギターを1時間弾いても1/4合分にも満たない計算です。
そう考えるとやはりギターで痩せるのは難しそうです。
楽器は全般的にメッツが低い
痩せられないのはギターだけではありません。
メッツが公開されているなかで最も高い楽器がドラムで3.8でした。1時間演奏すればご飯1合分くらいになりそうですが、スポーツに比べると単位時間あたりのカロリーが高いとはいえません。
マーチングバンドが速いペースで演奏しながら歩くと5.5ですが、これは楽器の演奏とはいえないでしょう。
エレキギターやドラムは身体を動かせばもっとメッツが上がりそうですが、純粋な楽器の演奏によるダイエット効果は期待できなさそうです。
ギターだけでは痩せられない、運動や食事でのダイエットを
今回の調査の結論は、ギターの演奏だけでは痩せられないというものです。
運動強度を表すメッツは2.0と散歩よりも低く、体重60kgの人が1時間演奏してもご飯1/4合分くらいにしかなりません。
このため、ダイエットをしたいなら運動や食事を利用したほうがよいでしょう。
ただ、音楽活動には心を豊かにする効果もありますので、決して楽器の演奏が無駄なわけではありません。
何かに極端に偏るのではなく、いろいろとやるのでよいのでしょうね。