ギターと弦の相性について これを意識すれば自分に合った弦が選べるかも

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ギターには各メーカーからさまざまな弦が発売されており、楽器と弦には相性があるといわれています。相性が良い弦を選べば楽器の魅力をさらに引き出すことができ、逆に相性が悪い弦だとせっかくの楽器が台無しです。これまで70種類以上の弦を使ってきた筆者が、ギターと弦の相性について、そして相性の良い弦を見つけるコツについて解説します。

弦はギターの調味料やスパイス

私はこれまでさまざまな弦を使ってきた経験から、ギターにとって弦は調味料やスパイスのようなものだと感じています。

スパイスの画像

どう頑張ったところで、食材(ギター)を根本的に変えることはできません。

ただ、安い食材を使っていてもおいしい料理が存在するように、安いギターでも良い音が出るものがあります。

それには調理法(弾き方)も大事ですが、調味料やスパイスも重要。調理法や調味料、スパイスがいまいちだと、いくら食材が高くてもおいしい料理にはならないでしょう。

そして、ギターにとって調味料やスパイスに相当するものが弦なのです。

ギターの良いところを引き出し、悪いところを補うのが弦の役割

その意味で、ギターにとって弦の役割とは、

  • ギターの良いところを引き出す
  • ギターの悪いところを補う

の2点だと思います。

ギターにはそれぞれ特徴があり、良いところも悪いところもあるものです。

たとえば低音がよく出る、高音がきれいに響くといった良いところもあれば、低音が軽い、高音がつまるといった弱点もあるでしょう。

一方、弦にもそれぞれ音の特徴があります。そして、ギターの音と弦の音はかけ算で変わるものです。

低音がよく出るギターに低音がよく出る弦をあわせればその特徴をさらに引き出せますし、低音が軽いギターに低音が重い弦をあわせれば弱点を補えます。

逆にギターの音を台無しにする組み合わせも存在します。

音質だけでなく弾きやすさも重要

弦選びで難しいポイントの1つが、弦はギターの弾きやすさを決める重要な要素の1つであるという点です。

一般的にテンションの高い弦は左手が押さえづらく、右手が弾きづらいですが、張りがあって力強い音が期待できます。

一方、テンションの低い弦は弾きやすいですが、柔らかい音になりがちです。

このため、テンションが低くて力強い音の弦がほしい!と思ってもなかなか難しいのが実情。

もちろん各メーカーともいろいろな工夫をしていて、あるメーカーのローテンション弦の方がほかのメーカーのハイテンション弦よりもしっかりした音が出ることもあります。

ただ、音だけで決めて良いものではないという点が弦選びを難しくしているのは確かです。

弾き手との相性もある

また、弦には楽器だけでなく弾き手との相性も存在します

テンションはその1例です。テンションが高い弦を好む人もいれば、テンションが低い弦を好む人もいます。

また、タッチの違いによっても弦のよさを引き出せるか否かが変わりますので、同じギターだからといって同じ弦が良いとは限らないのが悩ましいところです。

時間とともに相性は変わる

やっかいなことに時間とともに相性は変わります

その要因の1つが弾き手の変化です。

ギターを弾き続けていればだんだんとうまくなり、弾き方が変わります。それによって弾き手が引き出せる音が変わり、楽器や弦に不満が出てくることもあるでしょう。

また、加齢による変化も重要な要因です。年を重ねると高音が聞こえづらくなりますので、それによって感じる音に変化が生まれます。

筋力も衰えていきますので、出せる音は変わらざるを得ません。

時間とともに変化するのは人間だけではありません。楽器も弾き込むことにより音が変わるといわれています。

このため、以前は相性が良かったと思った弦も、気づいてみたらイマイチになっていることもあるでしょう。

相性の良い弦を見つけるための方法

これまでの経験から、私は相性の良い弦を見つけるには以下の方法をとれば良いのではないかと考えています。

1. 現在使っているギター、弦の好きな点と不満点を言語化する

まずは現在使っているギターと弦の組み合わせで、不満点を考えてみましょう

そしてそれを言語化するのが重要です。

たとえば低音がよく出る、音に艶がある、純度の高い音がするなど、自分の言葉で大丈夫です。

残念ながらギターや弦の音に絶対的な基準はなく、それぞれがそれぞれの基準で相対的に評価する必要があります。

言語化するとよりわかりやすく判断できますよ。

また、それらのなかで重要度/優先度をつけてください。

2. 不満点を極端に解消する弦を使ってみる

次にもっとも大きな不満点を解決できる弦を探して試してみます

ここでポイントは、不満点を極端に解消できる弦を使ってみるということです。

たとえば弦のテンションを下げたいのであれば、同じ弦のテンションが低いものを試すのではなく、他メーカーも含めテンションの低い弦を試すと良いです。

また、低音がもっと出る弦、高音の抜けが良い弦、倍音が少ない弦など、とにかく極端に不満点を解消できる弦を試すとまったく違う世界が感じられ、ギターの新しい魅力に気づくこともできます。

3. 新しい楽器と弦の不満点を言語化し、ランク付けする

次に、再び新しい楽器と弦の不満点を言語化しランク付けします

この時点で最も不満だった点が相変わらず不満点1位であるなら、楽器の買い換えが選択肢に入ります。

弦は調味料・スパイスですので、どうやっても楽器自体の特性を変えることはできません。

楽器を買い換えたほうが長い目で見て幸せになれると思います。

一方、元々の不満点が解消され、違う不満点が出てきたらほかの弦を試します。

極端に特性が違う弦にしたため、まったく合わないと感じることもあれば、意外と良いと感じることもあるでしょう。

意外と良いと思ったらその弦と近い特性を持つ弦を、まったく合わないと感じたら違う特性を持つ弦を試すと良いです。

まったく合わない場合は、案外一番不満だと思っていた点がそうでもないこともあるので、2番目の不満点を解消する極端な弦を試すのもおすすめです。

4. 時々弦との相性を見直す

先述の通り、弦との相性は時間とともに変わります。

また、各弦メーカーは新製品を開発し続けており、今までになかったような弦が登場することも。

このため、たとえ好相性の弦が見つかったとしても、ときどき見直すと良いです。

新しい弦についてはこのサイトで逐次情報を発信しますのでぜひ参考にしてください。

どの弦を選んで良いかわからなくなったら

弦についてこれまであまり考えてこなかった方や、どんな弦があるのかあまり知らないという方はこれらの弦を試してみてください。

プロの使用率が高く定番の弦:サバレス クリエイションカンティーガプレミアム

弦について余り知らないという方は、まずは現在定番の弦を試してみてはいかがでしょうか。

プロの使用率が高く、現在の定番といえるのがサバレスのクリエイションカンティーガプレミアムです。

現代的な音がする弦で、いわゆるクラシックギターの音の不満点を解消した新世代の弦といえます。

プロが使っているということは高いのでは?と思うかもしれませんが、意外と安いです。また、カンティーガプレミアムは寿命の長さでも定評があり、ランニングコストも良好。

クラシックギター専門店の売れ筋ランキングでも上位ある人気の弦です。

昔ながらの弦しか使ったことがない方にもぜひ試してほしい弦です。

音のニュートラルさは健在:ダダリオ プロアルテ ノーマル

昔から定番、標準的な音といわれているのがダダリオのプロアルテ ノーマル(EJ45)です。

いわゆるクラシックギターらしい音がする弦で、かつ音の癖が少ないのが特徴となっています。

このプロアルテ ノーマル、昔は安かったのですが最近は相次ぐ値上げでかなり高くなりました

同じお金を出すならほかにいろいろな選択肢があるのは事実です。

また、良くも悪くも昔ながらの弦なので、クラシックギターの弱点をそのまま引きずっている弦でもあります。

癖がないことからこの弦がきらいという人は少なく、その意味でここから弦選びをスタートするのはおすすめです。

あこがれのプロが使っている弦を参考にするのも

もし好きな音のギタリストがいるのであれば、そのギタリストが使っている弦を参考にするのも1つの手です。

楽器や弾き方もあるのでまったく同じ音にはなりませんが、好きな音の傾向という意味では参考になるかと思います。

いろいろと弦を試すと楽しい

私が弦好きというのもありますが、いろいろな弦を試すと楽しいです。

これまで使い慣れたギターにこんな音が出せるんだという驚きを感じたことや、弾きやすさが大幅に改善されたということがあり、ギターを弾いていて飽きが来ません。

もちろん逆にせっかくのお気に入りのギターの音が台無しということもあります。

ギターの弦はほかの楽器に比べれば安価なので、ぜひいろいろな弦を試して相性の良いものを見つけてみてください。

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