前回の記事で自力での楽譜の電子化を試みましたが、あまりにも時間と手間がかかることにくじけ、あきらめました。そこで残りの楽譜をスキャン代行サービスに出すことに。その経緯と使った業者について解説します。
本サイトの電子楽譜に関する記事は以下でまとめています:
自力での電子化を諦めた理由
まずは自力での電子化を諦めた理由を解説します。
楽譜の電子化は1冊20分くらいかかる
実際に自分で楽譜の裁断とスキャンをして感じたのは、自力での電子化はコスパが悪いということです。
私の場合、15冊くらい楽譜の電子化をおこなった最後のほうですら1冊あたり20分から30分ほどかかりました。
もちろん裁断機をローラーカッターで、ドキュメントスキャナーをプリンタ複合機で代用している影響もありますが、
- 表紙と裏表紙は分厚くてオートシートフィーダでスキャンできないので別スキャン
- スキャンした楽譜が正しくスキャンされているかのチェック
- うまくいっていないページのやり直し
の時間を入れるとこれくらいの時間が必要です。
さらに冊数を重ねることで時間を短縮できても、10分から15分くらいはかかるのではないでしょうか。
100冊処理すると25時間かかる
仮に1冊あたり15分かかるとすると、100冊処理するのにかかる時間は25時間です。
たとえ1日2時間使っても10日以上かかる計算です。
週末の1日だけを使うとすると、3カ月ほどやり続けることになります。
考えるだけで気が遠くなってきました。
1冊あたりにかかる時間をお金に換算すると悲しいことに
この自力での電子化にかかる時間をお金に換算してみます。
仮に1冊あたり15分かかるとして、1時間あたりに処理できる冊数は4冊です。
令和3年の日本全国の最低賃金が時給930円だそうなので、1冊あたり最低233円かかることになります。
100冊やれば2万円以上です。
スキルがあって時給がもっと高ければ1冊にかかるコストは上がるでしょう。
家族に「目が死んでいる」と言われた
このスキャン作業をおこなっている際、プリンタ複合機が紙詰まりなどを起こさずにちゃんと動いているか見ていたところ、家族から「目が死んでいる」と言われました。
確かに、あまり実りのない作業と感じており、それが表情に出ていたのでしょう。
この言葉で完全に諦める決心がつきました。
楽譜のスキャン代行業者の選び方
調べてみると書籍の電子化サービスをおこなっている業者はたくさん存在します。
料金はまちまちで、基本料金にオプションが含まれていたりいなかったりするため、どこを選ぶべきか迷いそうです。
楽譜の電子化は普通の書籍とは少し異なるところがあるため、電子化代行業者の選び方を解説します。
ファイル名変更オプションはぜひ付けたい
スキャン代行業者のオプションのなかでぜひ付けたいオプションが「ファイル名変更」オプションです。
これは電子化されたファイルの名前を書籍のタイトルに変えてくれるサービスなのですが、Piascoreアプリはファイル名を楽譜のタイトルとして利用するため、これがないと大量のファイルに対して1つ1つ中身を確認しながらファイル名を付け替える必要があります。
オプションとして別料金になっている業者が多いですが、付けておく価値はあるでしょう。
カラースキャンは不要
スキャン代行業者のスキャンは、基本モノクロ(グレースケール)です。
楽譜は普通白黒なので、カラーである必要はありません。
ただ、表紙はカラーであることがあるので、表紙だけカラースキャンというオプションを付けるのはありでしょう。
OCR処理は不要
OCR処理とは、スキャンする楽譜のなかから文字を自動認識し、文字としてPDFに埋め込む処理のことです。
これをおこなうと大量の楽譜のなかから楽譜に書かれた文章を使い、弾きたいものを探し出すことができます。
楽譜の場合は教則本や練習曲集を除いて文章が入っていないことが多く、不要だと思います。
曲集の場合は曲名で検索できるようになるメリットがありますが、OCR処理は後から自分でもできますので、あえて依頼する必要はないでしょう。
「スキャンピー」に依頼
私は色々な業者を比較した結果、「スキャンピー」にスキャン代行を依頼しました。
その理由などを解説します。
ファイル名変更付きで1冊88円と安い
スキャンピーを選んだ最大の理由はその安さです。
ファイル名変更付きで1冊あたり88円と、他の半分ほどの価格でやってくれます。
私の場合、1万円ほどでスキャンが終わる計算であり、自分でスキャンする時間をお金に換算した場合よりもはるかに安いコストで処理可能です。
この価格でスキャンしてくれる本のページ数は300ページまでと、楽譜には十分です。
何でこんなに安いのかと思ったら、業務用のドキュメントスキャナーを使っているので1分間に200ページのPDF化が可能なのだとか。
業務用なので品質にも期待できます。
ちなみに、ファイル名変更はISBNバーコードが読み取れる場合は書籍タイトル+著者名、読み取れない場合は書籍タイトルのみになるそうです。
ISBNは世界規格なので、輸入楽譜でも作曲者名が入るかもしれません。
楽譜のスキャンも対応してくれる
楽譜の電子化はニッチな市場なので、スキャン代行業者は楽譜のスキャンに対応しているかどうかを明確に書いていないことが多いです。
スキャンピーに直接問い合わせたところ、楽譜もスキャン可能との回答を得ました。
楽譜はA4などの定型サイズでないことが多いですが、A3までの大きさなら定型サイズでなくても受け付けてくれるそうなので安心です。
納期は長い
スキャンピーを使うデメリットは納期の長さです。
2022年3月末時点で最低15日、100冊以上で40日以上かかります。
私のケースでも、101~200冊という冊数で到着から6週間後という終了予定日でした。
特急便オプションを付けると2日以内にやってくれるそうなので、個別にオプションを指定できることから、早めにスキャンしたい楽譜だけこのオプションを付けるのもありです。
申し込みはネットから、楽譜を送付すれば終わり
スキャンピーの利用は簡単です。
まずは「ご注文フォーム」から依頼を送信し、その後メールでお知らせされる住所に楽譜を送るだけで終わります。
送付方法はこちらの自由で、首都圏であれば集荷サービスも利用可能です。
支払いはスキャンが終わってからで、銀行振り込みかPayPalを使ったクレジットカード決済が利用可能です。
納品方法はネットからのダウンロードが基本ですが、追加料金を支払えばDVD-Rとしてもらうこともできます。
スキャン完了次第結果を報告予定
この記事を書いている時点で楽譜はスキャンピーで処理中であり、完了までにはまだ時間がかかります。
どのような結果になったのか、またこのサイトで報告しますのでお楽しみに。
うまく電子化されていると良いのですが。
追記:電子楽譜のスキャン代行が完了しました。