弦の感想(ハウザー編):オーガスチン レッド(赤)(Augustine Classic/Red)

3.5
オーガスチンレッド(赤)のパッケージ
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ナイロン弦の原点ともいえるオーガスチンの弦をハウザーに張ってみました。ノーマルテンションに相当するレッド(いわゆるオーガスチンの赤)です。昔よく使っていたのですが、そのときの印象と違うのは楽器が変わったからなのか、それとも弾き方が変わったためなのか…。

今も昔も人気のクラシックギター弦:オーガスチンレッド

オーガスチンの赤といえば今も昔も人気のクラシックギター弦です。

オーガスチンはナイロン弦をはじめて開発したメーカーであり、クラシックシリーズと呼ばれる黒/赤/青はその当時から存在します。

それにも関わらずいまだに高い人気を誇っており、以前おこなった調査でも高いランクに位置していました:

電化製品などは時間がたつとすぐに陳腐化しますが、長い期間人気があるのはクラシックギターの特性もさることながら、それだけ完成度の高い弦といえるでしょう。

ちなみにオーガスチンの黒/赤/青セットの高音弦は共通で、低音弦のみが異なります。そのあたりの話はこちらの記事を参照ください:

昔よく使っていた思い出

かくいう私も昔はオーガスチンをよく使っていました。

理由は単純で、入手しやすくて安いから。

そこそこ大きい楽器屋に行けばどこでも売っていましたし、そのなかでもオーガスチンの赤は安い部類に入ります。

それでいて高音弦の甘い音や低音弦の豪華な音はほかにないものであり、愛用していたものです。

一方、オーガスチンのクラシックシリーズといえば高音弦の音程が非常に悪いことでも知られています。

確かに12フレットとハーモニックスの音程が合わず、とくにハイフレットで和音の濁りを感じる弦がしょっちゅうありました。

その後ギターが変わり、オーガスチンの赤を使わなくなりましたが、音程は改善されているのでしょうか。

昔ながらの硬い弦

オーガスチンは昔はビニールのパッケージに入っていましたが、今では紙パッケージになっています:

プラごみとコストを削減するためなのでしょう。

ナイロン弦の開発に携わったセゴビアの顔は裏面に掲載されています:

昔は写真の下に名前が書いていなかったように思うのですが、最近ではセゴビアのことをあまり知らないギター弾きが増えたからでしょうか。

すべての弦が空気を遮断するプラスチックパッケージに包まれています:

最近のオーガスチンはこのように、1弦と4弦、2弦と5弦、3弦と6弦をセットにして紙パッケージに入れています:

このようなやり方をしているのはオーガスチンだけなのですが、弦の区別をしやすくするためでしょうか?

荒々しさを感じる音

久しぶりにオーガスチンの赤を張って感じたのは、音が非常に荒々しいという点です。

これはよい意味でもあり、悪い意味でもあります。

高音弦の音は倍音が多く含まれ、かつプラスチック的なカチカチという音が含まれる音もあり、スペインものの勢いがある曲にピッタリです。

低音弦も高音弦と共鳴して金属的な音が強くまとわりつき、切れのよい音が鳴ります。

ただ、一方で弱い音や柔らかい音を出すのが難しいです。

このような音を出そうとしても、どうしても付帯音がついてしまい、それをなくそうとすると必要以上に音が痩せてしまいます。

大きな音や勢いのある音を出すには頼りになる存在ですが、繊細な曲には向いていないと感じました。

また、音の分離もよいとはいえないです。

ハイポジションや3弦の音の伸びが足りないのは、昔ながらのナイロン弦ならではといったところでしょうか。

以前よりも甘い音がしなくなった?

私のオーガスチンレッドのイメージは、甘い高音弦が魅力的というものでした。

ライバルのプロアルテがスッキリした音なのに対し、オーガスチンは歌わせるのが簡単だったように思います。

しかしながら、今回張ってみて高音弦がむしろ硬い音だと感じました。弦自体も硬くなった気がします。

昔の思い出はギターが違い、弾き方も違うのであてにはなりませんが、もしかして弦の素材や作り方が変わった?という気もします。

音程についても今回張った弦は問題ありませんでしたので、何らかの改善が施されている可能性も…。

きっとオーガスチンに聞いても教えてくれないでしょうが、気になります…。

ジャンルや好みによってはベストな弦

今回オーガスチンの赤を使ってみて、ジャンルや好みによってはベストな選択肢になる弦だと感じました。

特にスペインものを弾くには非常に頼りになりそうです。

音程の問題についても私が試した弦に関しては問題がなく、改善されているようにも感じます。

ただ、オーガスチンといえばの「甘い音」については、少なくとも私のハウザーIII世と私の弾き方の組み合わせでは感じられませんでした

これが弦が変わったせいなのか、楽器と私が変わったせいなのかはわかりません。

また、価格についても以前は800円台で当たり前のように変えていましたが、現在では定価が1セットあたり2,500円になり、実売では1,200円~1,500円ほどになっています:

あらゆる弦が値上がりしているのでこれでも有名メーカーとしては安いのですが、たとえばハナバッハは低価格ラインの500シリーズ600シリーズを出しているのに比べると相対的に高くなったともいえます。

とはいえ、ナイロン弦の元祖であるオーガスチンのオリジナルシリーズですし、ノーマルテンションの扱いやすい弦でもありますので、クラシックギターを弾いているなら一度は試してほしいです。

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