練習の時は弾けているのに人前で弾くとうまく弾けない…緊張でそんなことになってしまう人は多いかと思います。これは楽器だけでなくスポーツの世界でも同じです。練習の時から「ルーティン」を決めておくと自分を練習に近い状態に持っていけます。
五郎丸選手やイチロー選手で有名になった「ルーティーン」
「ルーティン」はラグビーの五郎丸選手や野球のイチロー選手で有名になった言葉です。「ルーチン」とか「ルーティーン」ともいわれます。
五郎丸選手だとこれですね:
「動き」自体に意味があるわけではない
このポーズ、やることによって筋肉が柔らかくなるとかそういう効果があるわけではありません。
人前で弾いた時に緊張した方はわかるかと思いますが、緊張すると普段通りできていたことができなくなります。これは緊張によっていろいろな不安が生まれ、脳がそちらの方に気を取られ、集中できなくなるためです。
そこで、「いつもやっていること」をその前に行うことで、自分に対していつも通りであるということを認識させ、やるべきこと(==演奏)に集中するようにするわけです。
わかっていてもできない「普段通り」、これに近づけるための儀式なわけです。
練習の時からルーティンをやっておくことが重要
一番大事なのは、決めたルーティンを練習の時からやっておくことです。
上でも書きましたが、ルーティンの動作そのものには何の意味もありません。ルーティンを普段からやっていて、それを本番でもやることで普段の自分に戻って集中できることが大事です。
練習の時は緊張がないかと思いますが、だからといってルーティンをやらないのではなく、むしろ本番を想定してしっかりとルーティンをやっておくことが重要です。
ルーティンをやろうと思ってやるのではなく、自然とやっていたところまで来たら完璧です。
ギターでどのようにルーティンを作るか
そうはいってもギターを弾く前にステージ上で五郎丸選手やイチロー選手のような動きをするわけにはいきません。クラシックギターにはクラシックギターに合ったルーティンがあると思います。
以下は例ですが、基本的には何でもいいです。自分がやりやすいものを選びましょう。複数でもいいですし、オリジナルでもいいです。
調弦
一番やりやすいのは調弦かと思います。調弦であればステージ上でやっていても違和感がないです。
5弦を基準として全弦のチューニングを見たり、その曲でよく出てくる和音の響きを確かめたりするのは立派なルーティンになります。
なんとなくうまい人っぽく見えるところも良いところではないでしょうか。
心の中で弾こうとしている曲のメロディーを歌う
調弦が終わったら次に今から弾こうとしている曲のメロディーを心の中で歌うのが良いと思います。
ステージで弾くということは多かれ少なかれその曲が好きだということだと思いますが、その中でも自分が一番好きな部分を歌うと気分も上がっていいかと。
もちろん、長々とやってはなんなのでほんの1フレーズにしておきましょう。
鼻や額の脂を爪や指の先につける
爪の滑りを良くするために鼻や額の脂を爪や指先につけるということはプロのギタリストでも行っています。
これも立派なルーティンになりますので、弾く前にやると一石二鳥かと思います。
ハンドクリームや香水などの香りをかぐ
実は脳の中で嗅覚をつかさどる部分は記憶と感情を処理する部分に接続されており、香りによって普段の自分を取り戻すというのはいい手です。さらに、その香りが落ち着きを取り戻してくれるようなものであればなおよいでしょう。
爪や指先にハンドクリームを塗っておくと鼻や額の脂をつけるのと同様、滑りを良くする効果がありますのでこれも一石二鳥になります:
ハンドクリームを指につけたり香水を手首につけておいたりして、弾く前にその香りを感じるのはいいルーティンだと思います。
弾きはじめの掛け声を心の中でかける
そして弾きはじめるわけですが、この時にいきなり指を動かすのではなく、弾きはじめの掛け声があると良いと思います。
「イチ、ニ、サン、シ、イチ、ニ、サン、シ」でもいいですし、「タッタラタッタラ」とかでもいいですし、好みのもので良いと思います。もちろん口ではなく心の中で。。。
大事なのはその曲の雰囲気に合っていて気持ちが入っていけるところかと。見当はずれのリズムだと弾きづらくなるかと思います。
練習時の集中力づくりにも有効
また、ルーティンは本番の緊張感対策だけでなく、練習時の集中力づくりでも有効です。
日々練習する中で他に気になることがあって集中できない日もあるかと思います。練習前に行うルーティンを決めておくことで気持ちを切り替えて集中力を高めることができます。
これも調弦から始まり、スケール、アルペジオ、スラーなどの基礎練習のパターンを決めておくのがいいかと思います。
メンタルトレーニングをやってくれるクラシックギター教室も
ルーティンは緊張対策の1つですが、メンタルトレーニングをやってくれるクラシックギター教室もあります。
こちらのTritoneギターウクレレ教室ではメンタルトレーニング講座の開講のほか、トレーニング動画(有料)もありますので遠方でも受講することができます:
ルーティンや練習以外にも色々とやれることがある
ルーティンや本番用の練習以外にも緊張しないためには色々とやれることがあります。以下の記事を参考にしてください:
本番では「ただ弾くだけ」の状態に持っていきたい
ステージ上で緊張しないためには「ただ弾くだけ」、つまり集中できている状態に自分を持っていくことが重要です。そのためにルーティンは有用な手段です。
本番にいきなり即席で効果があるものではありませんが、一度決めてしまえばずっと使えるいい手だと思います。
ぜひ一度試してみてください。