クラシックギター弾きにとって爪は非常に重要です。
形もさることながらつるつるに磨き上げられた爪でないと引っかかったり、ノイズが乗ったりしてしまいます。
徹底的に磨くとどうなるのか?と思い、超精密研磨フィルムを買ってみました。
ギタリストの爪に関する記事は以下のまとめを参照ください:
爪やすり+紙やすりが一般的
クラシックギター弾きの爪のお手入れグッズとしては爪やすり+紙やすりという組み合わせが一般的ではないでしょうか?
どちらもお手軽に買えて安いので便利です。
また別途記事にしようと思いますが、紙やすりは大体#1000から#1500を使うのが一般的で、#2000までが上限かと思います。
(※: やすりの細かさは#で始まる番号であらわされ、大きいほど細かいやすりです)
確かにこれでかなり爪がつるつるになるのですが、世の中にはもっと細かいやすりが存在します。
三共理化学のフィルムやすり
購入したのはこちらの三共理化学のフィルムやすりです。
#4000, #6000, #8000の3種類を購入しました。
ちなみに、他に#1000, #2000, #10000, #15000があるようです。私は紙やすりで#2000を使っているのでその上の3種類を買ってみました。
研磨のプロである三共理化学
三共理化学は一般的にはあまり知名度がないメーカーですが、研磨の分野では有名な企業のようです。
創業は1930年なのでかなり老舗のメーカーです。
メインは企業向けらしく、まだコンシューマー向けの製品紹介はHP上で coming soon となってました。
丈夫なフィルムやすり
この商品は「フィルムやすり」と呼ばれるやすりです。ラッピングフィルム(lapping film)とも呼ばれています。
フィルムの表面に研磨材がコーティングされているというものです。
紙やすりと違い、素材がフィルムなので破れにくいです。また、爪にはあまり関係ないですが、水とぎもしやすいです。
それよりなにより紙やすりよりもはるかに細かい研磨が可能なのが特徴で、金属やプラスチックなどを鏡のように磨き上げるのに使われます。
また、紙やすりよりも曲げに対して柔軟性があるので、曲面にもぴったりそわせることができます。
これは爪磨きにもピッタリなのでは?
爪磨きにももちろん対応
パッケージはこんな感じです。持った感じはまさにペラペラのフィルムといった趣です。
表面の用途には、「プラスチック類、石材表面、金型の仕上研磨・クリーニングに。塗装面磨きの前仕上げに。」とあります。
裏面の用途には「光ファイバーの端面研磨、オーディオ・フロッピーヘッドの研磨・クリーニング、磁気ディスク・ドラム研磨、モーターなどのシャフト研磨、ベアリングのハウジング研磨、爪磨きなどに。」とあります。
なんか、他のガチな用途に比べて爪磨きが浮いている感はありますが、公式にも爪磨きに使えることになっています。
紙やすりとは一線を画すツルツル感
早速使ってみました。
まだ感覚がよくわからないのでとりあえずフィルムをこんな感じに小さく切ってみました。
普段通り#2000の紙やすりで爪を磨いた後に使ってみます。また、やすりの基本通り、#4000 –> #6000 –> #8000の順番で使います。
見た目では裏と表や細かさがわからない
何しろフィルムに透明(?)な研磨材がついているやすりなのでパッと見ただけだとどっちが裏か表かわかりません。
なにしろ極細かいやすりなのでちょっとさわっただけでもわからないくらいです。
しっかりさわれば裏と表がわかるので困ることはありません。
困るのは触っただけだとどれが一番細かいかわからない点です。紙やすりであれば裏面に細かさが書いてあったり、触ればだいたいわかりますが、フィルムは難しいです。
幸いフィルムなので書いておくというのも手かと思います。
4000番でわかる違い
早速4000番で磨いたところ、紙やすりの2000番とは全然違います。
紙やすりの#2000がツルツルとすると、フィルムはピカピカです。光にあてると爪の先が光を反射します。
ギターを弾かない妻にも触ってもらいましたが、#2000で磨いた爪と#4000で仕上げた爪は明らかに違いが判りました。
ただ、#6000、#8000となると、たしかにさらにピカピカになるのですが、#2000から#4000のような感動はないかな、という印象です。
爪のノイズがあきらかに低減
この状態でギターを弾いたところ、あきらかに爪のノイズが減りました。
#2000でもきれいになったと思っていましたが、やはりまだ表面的には凸凹があったということでしょうね。
これも、ギターを弾かない妻にもわかったくらいなので明らかな違いです、
ノイズだけでなく、爪の滑りもよくなり、弦をつま弾きやすくなっています。速いアルペジオで違いがよくわかります。
また、最近のクラシックギターの奏法である、「爪の表面を弦が滑っていく」、という感覚がよくわかります。
音はかなりあっさりする
逆に、ノイズが減った影響かもですが、音はかなりあっさりしたものになります。
なんとも表現がしがたいのですが、ギターの1つの良さともいえる荒々しさというかそういったところは減るような。
まあ、この辺りは弾き方とか好みにもよりますので一概にいい悪いとは言えないかとは思います。
#8000あるいは#10000/#15000は必要か?
今回はせっかくなので#4000, #6000, #8000の3種類を買ってみましたが、どこまでで十分なのか、あるいはそれ以上必要かといわれるとなんとも言えません。
先述の通り#4000は明らかに違います。その先は確かにノイズは減っていくのですが、そのインパクトは小さくなっていきます。
また、磨きの工程が増えるので面倒というのも問題です。#15000までやったらフィルムだけで5工程なのでギターを弾くのが面倒になりそうな気もします(笑)。
個人的にはまずは#4000を試し、効果があってさらに上を求めるなら#6000、さらに#8000という順番で試していくのがいいかなと思います。そう高いものではないので全部買ってみるのもありかと思います。
ちなみに、私の近所のホームセンターでは#8000までしか売っていませんでした。#10000とか#15000を使う用途は少ないのでなかなかおいていないのかもしれません。
追記: スティック型の超精密研磨フィルムも
フィルム単体のほか、スティック式の研磨フィルムもありました。
フィルム単体だと使いづらいところもあるので、スティック型なら細かいところもしっかり磨けそうです。
裏の説明には爪のお手入れにもとあり、良さそうです。
上の#4000のほか、#2000と#6000があるようです。
コストパフォーマンスとしては通常のフィルムの方がいいかもしれませんが、使いやすさの上ではスティック式の方がいいかと。元々それほど高いものでもないので試してみてもいいかもしれません。スティックだけ手に入れて自分でフィルムを張り付けるのもあり、かな?
使い続けるかはともかく一度試す価値はあり
まさかこんなに違いがあるとは、というほど違いを感じた超精密研磨フィルムでした。
昔ながらの紙やすりだけ使っている方には一度試していただきたいです。
音以外にも凹凸が少なくなればどこかに引っかかって爪が割れるリスクも減りますので、快適なギターライフに貢献するのではないかと。