これだけはやっておきたいクラシックギターのメンテナンス

激落ちくんで磨いたクラシックギターのフレット メンテナンス
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大事な楽器とはできるだけ長く付き合いたいですし常にいい音で鳴っていてほしいものです。重大な故障の場合には結構な修理費用が必要になることもあります。この記事ではこれだけはやっておきたいクラシックギターのメンテナンスについて、頻度や場面ごとに紹介したいと思います。

高額な修理費用が必要になることもある故障

クラシックギターは柔らかい木でできている楽器であり耐久性は高くありません。

逆に木であるから修理もしやすいわけですが、残念ながら修理費用は安くはありません

こちらにクロサワ楽器のギターの修理費用一覧があります。これを見ると、調整ではなく故障の修理は大体5000円以上かかることがわかります(費用は工房によっては変わるかとは思います)。

お金の問題だけではなくやはり大切なギターは長く使いたいですし常に良い音で鳴っていてほしいものです。

ここから頻度ごとにやっておきたいメンテナンスについて紹介します。

毎日やりたいメンテナンス

温度と湿度の維持

木でできているギターは温度と湿度に敏感です。

湿度があまりに低いと表面板や裏板、側面板が割れます。また、ギターの内側に貼ってある力木と呼ばれる部品がはがれます。湿度が高く温度も高いと接着剤に使っている膠が溶け、いろいろと不具合を起こす可能性があります。

ギターを保管する場合、湿度を40%~50%に保つことが重要です。温度も人間が快適と思う範囲にするのが望ましいです。

そのためには密閉性の高いケースに湿度調整剤とともに入れるのが望ましいです。

部屋の中の湿度や温度も時間とともに変動しますので、ケースに入れずに出しっぱなしというのはリスクがあります。

また、いくら湿度調整剤を入れておいても限界があります。湿度調整剤も無限に水分を吸えるわけでもなければ、無限に水分を出せるわけでもありません。このため、ケースに入れて放っておくと湿度が異常に高くなったり異常に低くなったりします。

毎日でなくても良いですが、せめて週に1度はケース内の温度や湿度を確認しましょう。ちなみに、シリカゲルの湿度調整剤は電子レンジで温めれば湿気が抜け、上記にあてれば湿気を吸います。

温度計と湿度計はこの辺りが安くて小さくて使いやすいかと:

こちらはちょっとお高いですが、国立博物館でも使われているのだとか:

私はこちらの、楽器内部の湿度が測定でき、スマホからケースを開けずに値をチェックできる湿度計を使っています:

ケースに入れて保管する

これも立派なメンテナンスです。

思い立った時に弾きたいとか常に見ていたいという気持ちはわかりますが、スタンドに立てておいたりギターハンガーにつっておいたりあまつさえ床に転がしておくのはだめです。

上で説明した温度と湿度の影響があるほか、地震や人災、ペットにより楽器が損傷する可能性があります。

弾かない時間の長い短いにかかわらずやはり楽器はケースにしまった方がいいです。

ギターを弾き終わった時にやりたいメンテナンス

ギターを弾き終わった後もメンテナンスをやるのにいいタイミングです。

ギター全体をからぶきする

ギターを弾き終わったら楽器全体を柔らかい布でからぶきしましょう。

これにより汚れも取れますし、汗などの人間からついた水分をふき取る意味もあります。特にセラック塗装のギターの場合には水分によって白濁することもあります。

また、汚していないつもりでも手などの脂がつきますので、放っておくと取れづらくなります。弾き終わったら感謝も込めてからぶきしてあげましょう。

私はこのクロスを使っています:

薄くて使いやすいです。

からぶきに使う布については以下の記事も参照ください。

また、ブリッジやナット付近はクロスではふきにくいため、こんなグッズを使うと便利です:

からぶきとともに割れの確認

全体をからぶきするもう1つの目的はギター全体の割れの確認です。

どれだけ気を付けていても木でできている楽器なので割れてしまうことがあります。割れてしまったときはすぐに対処すれば簡単に治りますが、時間がたてばたつほど直すのが難しくなります。このため早期に発見することが重要です。

割れているかの判断は難しいですが、まずは今までになかったような線を発見するのがポイントです。そして、LEDライトなどで裏側から光を当て、その線から光が漏れるようであれば割れています。すぐに買った店や工房に持ち込みましょう。

また、もう1つ割れやすい部品が糸巻のローラーです。プラスチックで作られていることが多いですが、使っているうちに弦の圧力に負けて割れます。糸巻のノブをふくついでに見ておきましょう。

弦の表面をふく

特に低音弦は金属でできているので錆びやすく、錆びると音が劣化します。

人間の手の水分や脂が錆びの原因になるので、弾き終わったら拭いてやると長持ちします。

こんなグッズも出ています:

また、弦の表面をオイルでコーティングするグッズも販売されています。こちらなら錆を防ぐとともにフィンガーノイズも低減でき、指の滑りもよくなることで弾きやすくなります。

音のビリ付きの確認

今までになかったような音のビリ付きを感じたら力木がはがれている可能性があります。

といっても、力木ではなく不良弦のせいであったり、サドルやナットが低くなりすぎた可能性もあります。素人判断せずに店に持ち込みましょう。

弦を長持ちさせたければ張りを弱める

弾き終わった後に弦のテンションを緩めるかどうかはいろいろな議論があります。

1つ言えることは、テンションを緩めておいた方が弦の寿命は長くなります

これを狙うのであれば各弦を全音分(例: 6弦をレ、5弦をソ、…)緩めておきましょう。

弦を交換するときにやりたいメンテナンス

次は弦を交換するときです。弦が邪魔でできないメンテナンスができます。

指板をふく

指板には手の汚れがつきます。元々指板は黒いのでわかりづらいですが拭いてみると結構汚れていることがわかります。

弦を変えるたびにレモンオイルで拭く必要はなく、適当な布で拭いておけばいいかと思います。

特に注意して拭きたいのが指板そのものではなくフレットの根元です。ここに汚れがたまりやすいのでしっかり拭きます。また、12フレット以上のフレットはあまり触らないので錆びやすいです。ここもしっかりふいておきましょう。

サドルとナットにゴミが挟まっていないか確認

弦とサドル/ナットの間にほこりなどのごみが挟まっていると振動がうまく伝わりません。しっかり確認しましょう。

半年に一度やりたいメンテナンス

大掃除だと思ってやりたいメンテナンスです。

カルナバポリッシュで磨く

普段はからぶきで十分なのですが、そのうち取り切れない汚れがついてきます。半年に一度くらいはカルナバポリッシュで磨いてやるときれいになります。

カルナバポリッシュはセラックやラッカー塗装にも安心して使えるポリッシュです。

ポリッシュは微細ながらも「磨く」ものなので頻繁に使うことはおすすめできません。

ダダリオの3ステップシステムにもカルナバポリッシュが含まれており、成分が濃いのでおすすめです:

指板をレモンオイルでふく

指板も半年に一度はレモンオイルで拭きましょう。

指板の乾燥を防止する意味もありますが、脂汚れを落とすのに便利だからです。

ある程度力を入れておさえる指板には指の脂(と怨念)がこびりつきがちです。からぶきでとり切れないものがたまっていきますので、たまにレモンオイルでふくと布が黒くなります。

ボディの内部を掃除する

ボディの内部にほこりがたまると音を吸収してしまいます。ハンディワイパーを使うと良いです:

糸巻の歯車の汚れを落とし、油を差す

糸巻は歯車でできている部品ですので、たまにメンテナンスしてやる必要があります。

メンテナンスや掃除の詳細はこちらの記事を参照ください:

フレットを磨く

これは必須ではありませんが、フレットを磨いてやると銀色に輝いて気分がよくなります。

錆は体にいいとは思えないので指で触れるフレットの錆は落としておいた方がいい気がします。

少しずつの努力が成果を生む

これらのメンテナンスは1つ1つは簡単ですが、続けるとなると意外と手間です。

しかしながら、これらの少しずつの努力が故障を防止することにつながります。

大切なギター、しっかりと守ってあげましょう。

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